なんだかんだと月日はあっという間に過ぎ去り、「アッ」という間にツアー終了となりました。結果的に以前の術後明けもそうであったように、やはり日本でリハビリするよりも怪我の状態に合わせてルートが選べる海外の岩場での方がしっかりと取り組めるという目論見は大正解で、段階をったリハビリができました。
セユーズに来た頃は恐る恐るのクライミングでしたが、ツアー終盤は足を切らずに、肩にかかる重量をコントロールできるルートで変に可動域が要求されるルートや伸びきる様なルートでなければかなり力も入れられるようになってきたし、思った以上に登れるようになり、復帰への手ごたえを実感できたツアーとなりました。まだ、両手を伸ばしてぶら下がったり、片手でぶら下がったりは出来ませんが、今後、日々しっかりとやって行けば時間が解決するでしょう。
今回、セユーズに来て驚いたのは、大半のクライマーがチョンボクリップしていたこと…。大概2本目にかけてスタートするクライマーが多かったです。スタート核心のルートなどでも、何も悪びれた様子もなくいつも通りという感じで平然とチョンボクリップするのには正直唖然としました。そんな中、私たちが普通に登っていると必ず「これ貸すよ!」とチョンボクリップを差し出してくれます…。「俺には必要ないよ!」というと意味不明な顔してましたけど…。昨年来た時にはそんな光景は見なかったのに、急に今回見るようになってました。よくよく見てみると英語圏のクライマーが多かったですね。昔から見る顔の地元のクライマーは使っていなかったですが、フランス人でも使う人はたくさんいて正直がっかりしました。昔に比べてボルトの本数も増えているんですがね…。というか、スティッククリップ前提のルートは普通TOPOに記載してあるでしょう。私はその光景見て正直「そこまでしてやりたいか!恥ずかしくないのかそこのおまえ‼」と思いましたし、日本語ではありましたが顔見て言ってやりました…。で、登った後にはみんなで「Good Job!」って言ってたんで「惜しかったね!チョンボさえしなかったら登れてたのに!」とも言ってやりました。思い返して、今、私が後悔してるのは面と向かって英語で言わなかったこと…。やっぱ、私もちょっと卑怯だったと反省しきりで恥ずかしいです。
昔は岩場の取り付きでチョンボ棒用の木の枝見つけたら地元のクライマーが折って捨ててましたけど…クライミング先進国のフランスはどこに行ったのでしょうか…アッと、大概は外国人でしたけどね。地元の人は見て見ぬふりでしたね…あきれてるのか、あきらめてるのか…まぁ、いずれにせよ、少し悲しい光景でしたし、異議を唱えない事にも残念な思いがしました。
時を同じくして「Grimper」にアクセス問題についての記事がかなりの紙面を割いて特集されており興味深く読みました。チョンボクリップと「Grimper」に載っていたアクセス問題…私は大きく通じるものがあるように感じました。やはり大事なのは「クライミングに対するメンタリティー」にあるでしょう。興味ある方は、ぜひ「Grimper」の229号(Jun 2023)見てみてください。
という事で、オリンピックを控えたフランスもオリンピックを終えた日本と同じような道をたどっているように見えました。やはりオリンピックになると大衆スポーツとしてのクライミングというようにクライミングの立ち位置が変わり、それに合わせてクライミングの価値感やメンタリティーもクライミング文化よりも社会性が優先されるというのは避けられないようですね。
得るものも大きいのでしょうが、捨てるものも大きいと感じるのは私だけでしょうか…。
私的には、得るものは何もなく、捨てるものしかなかったと感じてるんですが…。
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by 8a1000
| 2023-07-01 11:33
| REBORNへの道